改造用に用いる線材について

 改造用に使っている線材についてです。

 

 工房やまだではプリント基板の改造を承っていますが、

改造で多い案件としては、部品交換です。

 各種LSIの交換、コンデンサの交換。

 最近ではコネクタやソケット等の異形部品と、BGAのようなリードレス部品の中でもQFNの交換が多いです。

 

 そして回路修正。

 ジャンパ配線ですね。

ジュンフロン線 潤工社 ジャンパ配線

 通常ジャンパ配線で使う線材はジュンフロン線です。

 多くの企業さんより部材指定で改造をお受けした場合はたいていフッ素樹脂被覆の線材ですし、

 部品指定なしの場合は弊社で在庫しているジュンフロン線を使う場合が多いです。

 

 これは線材の信頼性の問題が大きいですね。

 

 改造のような通常仕様はら外れる事をした場合に気になるのが絶縁性、ショートしないかどうか。

 その心配はフッ素樹脂被覆のついた線材は少ないです。

 

 ただこの線材は改造する職人にとってはなかなか扱いが難しい所があります。

 線が硬く、被覆の分だけ曲がりにくい。

 曲がりにくいということは曲げ抵抗があるということで、部品に半田付けした時に部品にストレスが加わりやすいという事です。

 また、皮膜を目的のところだけ剥がすにはなかなか難しく細いものになるとかなりの難度になる為あらかじめ配線位置や長さを決めておかなければなりません。

BGA CSP 0.5ピッチ

 工房やまだでは通常の部品のリードからだけではなく、BGAやCSP等のリードレス部品からのジャンパ配線も行っています。

 BGAからのジャンパ配線でも弊社ではジュンフロン線を用いて行っています。

 ただ、0.8mmピッチだとジュンフロン線を使う事が出来るのですが、それ以下のピッチのCSPだと隣り合う半田バンプの間に線材を通す事が出来ないのです。

 そこでエナメル線を使うことにしました。

 エナメル線ならウレタン皮膜が薄いですのでCSPのバンプ間を通しやすく、何より扱いが非常に楽です。

 線材が柔らかく、皮膜を剥がし易いですね。

 エナメル線は半田ごてで加熱するだけで目的の位置だけの皮膜を剥がして銅線を露出できるのであらかじめジャンパ線の長さを決めておく必要がありません。

 

ジャンパ配線の線材の比較

 まとめるとこのような感じになります。

評価項目

エナメル線

(ポリウレタン皮膜)

ジュンフロン線

(フッ素樹脂被覆)


線材の細さ
作業性 線材の柔らかさ
皮膜の取りやすさ ×
信頼性 皮膜の強度

 

 

 と言っても、材料は作業性の良し悪しで線材を選ぶのではなく、製品の品質的には信頼性で選ぶべきであると考えますので、

 

 どうしても太さや配線する部品に掛かるストレスが問題になる場合以外はジュンフロン線を用いてやっていこうと考えております。