後半いきましょう。
前半はこちらです。
③ 局所的な加熱が必要
三つ目は局所的な加熱が必要だということです。
基板に部品を実装する時、一番一般的なのはリフローでの実装です。
基板にクリーム半田を塗布して、部品をマウントし、基板を加熱する。
これだと、基板全体が加熱されます。
それと比較して、局所的な加熱が必要な交換の場合はどうでしょうか?
半田ごてでの実装と同様ですが、
本来の半田の溶融温度よりもずっと高温で加熱する必要があります。
これは、基板のパターンに沿って熱がどんどん逃げていってしまうからです。
つまり、
細いパターンで繋がっているパットの半田は直ぐに溶ける(低温で溶ける)
ベタパターン上のパットの半田は溶けるのに時間が掛かる(高温でないと溶けない)
と言うことです。
さらに難しくしているのは、パットがどんなパターンで繋がっているかは目視ではわからない場合も多いということです。
さらにさらに難しくしているのは、半田仕様が共晶半田(leaded solder)からPbフリー(lead free solder)に変わり半田の溶融温度が上がっているということです。
どうすればいいのでしょう?
半田ごての温度を変えるというのも一つの手です。
しかし中々溶けないからといって上げればいいと言うことではありません。
「部品の取り外しって難しい(上)」でも書いているように
高温にするのはリスクが伴います。
工房やまだでは様々な方法を考えそれを組み合わせて行っています。
なかなか全部を公開することが難しいですが、今後ちょろちょろ出していきます。
④ 基板実装の際に外す事を想定していない
四つ目、基板実装の多くの場合、外す事を想定していないんです。
設計段階や、制作段階で改造、修理のことを考えていないのも納得のいく話ではありますが、
これでなかなか困ったことになってきます。
代表的なのはBGAですね。
以前、BGAは実装の精度が悪く、特にPbフリーに移行していった当初は不良も多かったです。
しかしながら、BGAリワーク(BGAの交換等再作業全般)は専用設備の必要かつ経験も多分にいるためそう簡単におこなえるようなものではありません。
そのまま捨てざるを得ないということもあったようですのでBGAを使うこと自体が改造、修理を想定外にしていたということでした。
いまでは、実装技術も上がり、不良も出にくくなってきています。
工房やまだではそんな当時からBGA交換を主業務としています。
また、部品のボンディングなんかも交換で難度をあげている要因です。
リフローで実装する場合に、片面にボンディングしていれば落ちない為両面リフローで実装できます。
しかしながら、部品取り外しの際はなかなかの曲者です。
半田を溶かすだけでは部品が取れない訳ですからね。
また、基板へのコーティングも同様です。
コーディングは防塵、防湿のために実装後に基板に施すものですが、
これがあると作業性が非常に悪くなります。
素材によってはふき取るのが難しく、
残っていると半田の「ノリ」が非常に悪くなって半田がなかなか溶けなくなります。
基板改造は一発勝負!基板実装の最後の防衛線です。
ミスは基板廃棄に繋がりますので、経験と想像力が一番重要ということでしょう。
そんなわけで前半、後半と2回に分けて書いていきましたが、
部品の取り外しで何が一番大切か、まとめに入りたいと思います。
半田ごて、糸半田、その他の色々な道具。
いつも使っていてもちょっと目先を変えるだけで別のことができるのかも。
毎日やっているからこそ、別の見方をしてみる。
でも、これっていうのは部品取り外しだけではないですね。
なんでも同じだなと書いていて思ったのでした。
部品取り外しはプリント基板の駆け込み寺 工房やまだまで!
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