工房やまだはプリント基板の試作、改造、リワークの専門家です。
専門家を謳っているのも長い経験と専門性のある知識があってのものですが、
その為に難しいご依頼も多く頂きます。
だからこそ専門家としてもっと高みを目指すことができるのです。
今回ご紹介する作業、かなり苦戦しました。
0.5mmピッチBGA(CSP)のジャンパ配線です。
まずは、これまでのジャンパ配線のご紹介です。
0.8mmピッチまでのBGAジャンパ配線
工房やまだでは、これまで0.8mmピッチBGAへのジャンパ配線を行ってきました。
ピッチ(ボールの中心と隣のボールの中心の距離)が0.8mmですと、
通常0.45mm径の半田ボールを使用します。
つまりボールとボールの間の距離は0.35mmです。
この細い隙間に回路変更のための配線、ジャンパ配線をしていきます。
使用するジャンパ線は以前のブログ記事でもご説明したように
潤工社さんのETFE電線(ジュンフロン線)です。
厚い皮膜で覆われているので作業性は悪い(扱いが難しい)ですが、
ちょっと位の熱では皮膜が溶けないですし、
多少のキズがついても中の電線が露出しないのでショートの心配も少ない信頼性の高い線材です。
弊社で通常BGAジャンパに使用しているのは下のような線材です。
線材名 | 使用するBGA | 芯線の太さ | 線材の外径 |
ETFE電線 | 0.8mmピッチ以上 | 0.1mm | 0.26mm |
BGAのボール間距離0.35mmに対して線材の外径は0.26mmなので問題ありません。
0.5mmピッチのBGAジャンパ配線
0.5mmピッチのBGA(CSP)だと0.3mmの半田ボールを使用します。
当然隣り合ったボール間距離は0.2mmです。
こうなると、外径0.26mmのジュンフロン線ではボールの隙間に通す事も出来ません。
ということで別の線材を探しました。
見つけたのがポリウレタンエナメル電線(UEW電線)です。。
線材名 | 使用するBGA | 芯線の太さ | 線材の外径 |
ETFE電線 | 0.8mmピッチ以上 | 1.0mm | 0.26mm |
UEW電線 | 0.5mmピッチ | 0.08mm | 0.103mm |
ポリウレタンエナメル皮膜は薄く熱で溶けるので線材の加工は非常に楽ですが、
その分信頼性が低いです。
ちょっとしたキズで芯線が露出してしまいますし、
半田ごてが僅かに触れると皮膜が溶けてしまいます。
この細さの線材は他に選択肢が無いので仕方が無いですが、
納品した後にお客様が使用される際にもキズはつきやすいですし、
大きさ的に問題が無いならBGAジャンパにはジュンフロン線を使って行きたいですね。
兎にも角にも、0.5mmピッチBGAのジャンパ配線が可能になりました。
「回路修正したい!でもBGA部分でジャンパ配線なんて出来るの?」
といった問題には是非、
プリント基板の駆け込み寺 工房やまだへ!
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