今回はお客様がご来社されてお話した時の内容から。
「久々に共晶半田での実装の依頼が来たんだけど、
BGAはPbフリー仕様のものしか入手出来てないんだよね。
これって問題起きると思う?」
共晶半田とPbフリーはんだが混在している状況にどう対処するのか、
という問題ですね。
考えてみましょう。
リフロー実装のやり方
まずざっくりと、
基板実装工場で一般的なリフロー実装のやり方を見ていきましょう。
① はんだ塗布
ペースト状の半田をスキージで基板上に塗り広げます。
② 部品搭載
基板に塗られたクリーム半田の上にマウンターで部品を載せます。
③ 加熱
リフロー炉に入れ加熱します。
④ 実装完了
基板と部品の間をつなぐクリーム半田が融けて実装完了です。
共晶半田とPbフリーはんだ混在での実装
それでは今回のお話の様な場合には一体どうなるのでしょうか。
現在一般的な部品を購入しようとするとほぼすべての部品はPbフリー仕様になっています。当然BGAも共晶仕様のものはメーカが作っていない場合が多くPbフリー仕様を使わざるを得ません。
その部品を用いて共晶仕様(クリーム半田を共晶半田)で実装しようとすると基板内で共晶とPbフリーが混在する状況になってしまいます。
共晶半田が融ける温度で加熱実装した場合
これをリフローしてはんだを溶かして実装してみましょう。
クリーム半田が共晶なので共晶の融ける温度でリフローしてみます。
すると、、、
ぱっと見問題は無いように見えますね。
しかし、、、
よく見るとBGAのボールは融点の高いPbフリーであるため融けずにそのまま残り、共晶のクリーム半田だけが融けている状態になってしまっています。
当然これでは十分にはんだが馴染んでおらず、どこかで未半田状態になってしまってもおかしくありません。
Pbフリーはんだが融ける温度で加熱実装した場合
これを今度はPbフリーの温度条件で加熱する場合を考えてみましょう。
Pbフリーの温度条件は共晶のそれよりも30度程度高い設定です。
すると、、、
こちらもぱっと見は問題ないように見えます。
共晶の温度条件で加熱した場合にはBGAのボールのところに異常が見られましたが、こちらにはそういったものはありません。
しかし、、、
BGAの半田ボールはPbフリーの大きなボールに少しの共晶半田が付いている状態ですので、Pbフリー条件で加熱すれば概ねちょうど良く融けてくれています。
しかし、他の個所はどうでしょうか。
BGA以外のパッドでは共晶のクリーム半田が多くの割合を占める状態になっています。(部品にPbフリーメッキがされていてもごく僅か)
そこにPbフリー条件で加熱をしているので明らかに加熱し過ぎです。
共晶のクリーム半田に含まれるフラックスは共晶の温度条件で加熱するのに適したものですのでPbフリーの温度条件では効果的に働かず、最悪はんだとパッド、部品の端子が馴染まず未半田状態になってしまうことも。
つまり、共晶半田とPbフリーはんだが混在している状態でリフローするのはリスクがある、ということです。
(どちらかと言えばまだ、Pbフリー条件で加熱する方がより良いでしょう。)
その対応は?
ベターな対応はPbフリー条件で加熱をすることではありますが、
それでは、ベストな対応とはいったい何でしょうか。
それはBGAのリボールを行う事です。
結局、問題は異なるはんだが混在していることなので、
全て同じにしてしまえばいい、ということ。
(他の部品もPbフリーはんだメッキされていますが、微量な為無視できます)
そこで効果的なのがリボールです。
BGAリボール
リボールの手順はまず、BGAのはんだを除去します。
これでほぼPbフリーのはんだが無くなりました。
次にボールを搭載していきます。
ここの手順で方法はいくつかありますが、工房やまだでは可能な限り価格、日程も対応できるように、方法検討してご提案いたします。
加熱してはんだをBGAに馴染ませます。
この手順次第ではんだの綺麗さ、品質が大きく変わってきますね。
最後に検査して完成です。
実装用のBGAのはんだ仕様の変更ですと大量のBGAを一度にリボールする必要があると思いますが、工房やまだではご依頼数が大きくなると単価を大幅に下げて対応可能です。
さて、こんな感じでリボールしたBGAを使用すればクリーム半田と部品のはんだの仕様を合わせることができ、最適な条件で部品の実装を行う事ができるようになります。
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