2011年のブログ一覧③
2011年
12月
26日
月
車の改造をしました。
今回は、車のメータのLEDの交換です。
個人のお客様よりご依頼があっての作業です。
交換前
まずは交換前の写真です(同じ種類の別の車の写真ですが。)。
全体的に黄色っぽい感じの光の色です。
変更点は2つ
速度を表す数字の黄色のLEDと、左下のガソリン量のパネルの黄色のLEDです。
基板だとこんな感じ。
パネルの部分があるのでどこだか分かりやすいですね。
交換するLEDは赤い丸の3つ。
一つはパネルの裏側にあります。
別の角度から。
作業はこの角度で進めていきます。
LED交換1つ目
さて交換していきましょう。
液晶パネルの後ろのLEDが少し問題ですね。
そこから交換します。
交換の準備です。
液晶パネルのバックライト用のLEDですのでパネルの裏にあるのですが、
パネルを取り外すのもなかなか難しいので浮かせてスペースを作ることに。
厚紙を挟んでスペースを作ると共に、テープを張ります。
半田ごてが万一当たってパネルのプラスチック枠を溶かさないようにです。
アップしたところです。
半田こてでちょいっと取ります。
外して付けました。
形が少し違います。
LED交換2、3つ目
次は上の写真の左右のLEDの交換です。
この2つは簡単ですね。
こちらも少しだけ形が違うものです。
これで作業は終了です。
見た目は全然分かりませんね。
さて、車に載せるとどうなるのか楽しみです。
交換後
お客様にお送りして、後日お写真を頂きました。
上の写真のように、すっきり白い文字のメータになったようです。
大変お喜び頂けまして、嬉しい限りです。
このような基板の改造は
プリント基板の駆け込み寺 工房やまだまで!
自動車ECU修理、注意事項のページをご覧になりお問い合わせ下さい。
TEL:0238-22-0771
FAX:0238-26-2361
Email:info@koboyamada.jp
2011年
12月
19日
月
パソコンの修理ってこうやります④
GPU取り付けのステップ
GPUを基板に取り付けする為には、
GPUの裏面の半田ボールで出来た端子が、基板のパットと全て結合しなくてはなりません。
それには2つの要素があります。
① 加熱した時にGPUの半田ボール端子(バンプ)が溶けて、基板のパットと馴染む。
② GPUのバンプと基板のパットの位置が合っている。
2つの要素をクリアするためにGPUの取り付けは3つのステップで行います。
① クリーム半田の塗布(要素①のクリア)
② GPUの位置決め(要素②のクリア)
③ リワーク機でのリフロー
クリーム半田の塗布
GPUのバンプと基板のパットの間にクリーム半田を塗布する事で、
半田バンプとパットの馴染みが非常に良くなります。
クリーム半田を塗らずにフラックスのみを塗ってGPUを乗せて加熱しても、
付くことは付くのですが馴染みが悪く、クラック等の問題が心配です。
一般的なクリーム半田の塗布方法
一般的には、小型のメタルマスクを作成してGPUに被せて
スキージでクリーム半田をマスクの隙間に塗りこむ方法がとられます。
しかしこれでは、リボールする際とはまた別にメタルマスクを作る必要があり、納期的にも1週間程プラスされますし、制作費用も別途掛かります。
工房やまだのクリーム半田塗布方法
工房やまだではメタルマスクを使用しない独自の方法でクリーム半田を塗布しています。
これで、信頼性の高いGPU取り付けを素早く出来ます。
GPUの位置決め
GPUはBGAタイプのICです。
BGAタイプICの特徴は、端子部分が目視できないという事です。
工房やまだでご依頼を頂いているGPU修理の多くのGPUのピッチは1mmです。
ピッチが1.0mmだと半田ボール間の距離は0.4mmしかありません。
はっきり言ってこのサイズの半田ボールと基板のパットを正確に合わせるのは、
目測では無理です。
なのでGPUの位置決めにも特殊な機材を使います。
リワーク機はBGA交換の専用機ですから当然BGAの位置決め装置も付いています。
取り外しの時にはリワーク機の左側部分を使用しましたが、
取り付け前の位置決めの時には右側部分を使用します。
基板を台座にセットして右側にスライドします。
クリーム半田を塗ったGPUをバキュームユニットにセットします。
カメラユニットを引き出します。
このカメラユニットは優れもので、基板のパットとGPUのバンプを同時に写すことができます。
上向きに映すとGPUのバンプが映ります。
下向きに映すと基板のパットが映ります。
上の左の写真は下向きのみの画像で基板のみを映したもの。
それに上向きのGPUを映した画像を重ねると右の写真のようになります。
この画像を見ながらGPUの位置や角度を変えてGPUのバンプと基板のパットとが
ちょうど重なるように調節します。
二つの画像がぴったり重なった状態が、正確にバンプとパットの位置が合っている状態です。
カメラユニットを仕舞って、バキュームユニットを垂直に降ろします。
これでGPUのバンプと基板のパットの位置が正確に合っています。
リワーク機でのリフロー
ベストの位置にベストの状態でGPUが基板の上に載っています。
後はこれをリワーク機のリフローユニットで加熱して
半田バンプを溶かし、基板のパットと結合させるだけ。
だけ、と言いましたがこのリフローが最後の難関です。
GPU取り外しの部分でも同じですが、GPUを加熱する部分だけはマニュアルを作成できません。
なぜかと言うと工房やまだで扱う基板、GPUは毎回違うからです。
基板、GPUが違うと加熱する温度も時間も全く変わってきます。
近くに熱に弱い部品があるとそれを守らなくてはいけません。
しかし、周りの基板全てを保護していると基板が温まりにくくなり、いくら加熱しても半田が溶けません。
GPUの取り外し、取り付けは全て経験です。
工房やまだはBGAリワークの専門家です。
PCのGPU修理経験はまだ浅いかも知れませんが、
数多くの産業用基板のBGAの交換をしてきました。
修理完了後の基板と、そのGPUにX線を照射して撮った写真です。
このX線写真で分かることは限定されていますが、ボールの位置は正しいですし、
形や大きさにも問題は無いので、恐らく修理できたのではないかと思います。
そして、PC修理業者様にお返しをしたところ、問題なく動いたとのご報告を頂きました。
作業に自信を持っていても、やはり動いたと聞くまでは不安ですね。
パソコンのGPU不良修理は
プリント基板の駆け込み寺 工房やまだまで!
TEL:0238-22-0771
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2011年
12月
12日
月
パソコンの修理ってこうやります③
リボール
① 半田ボールの除去
まず、GPUに残った半田を大まかに除去していきます。
半田ごてを当てて溶かしつつ取って行くのですが、
フラックスが十分に無いときれいに取れてないので
糸半田を足しながら溶かしていくか、十分にフラックスを塗った後にこてを当てます。
次に、網線(半田吸い取り線)できれいに半田を除去します。
ただ網線と半田ごてを当ててもこての熱が網線、GPUに伝わりにくいため、
少しだけこてに半田を足してから網線に当てます。
もちろんきれいに取るためにはフラックスも必要です。
② 半田ボールの搭載
ここがリボールの肝、半田ボールの搭載です。
通常半田ボールの搭載には
BGA1種類ごとにメタルマスクを作成してボールを流し込んでいくのですが、
工房やまだではメタルマスクを使用しません。
独自の方法でボールを搭載しています。
GPUは様々な種類があり、その一つ一つにメタルマスクを作っていくと費用がいくら在っても足りませんし、GPU修理の納期も1週間ほど長くなってしまいます。
その独自の技術で工房やまだのリボールは1日(もちろん場合によりますが)で可能です。
更に独自の半田ボール搭載装置も開発しています。
③ 加熱による半田バンプの形成
きれいに半田ボールが搭載されてしまえば、後は加熱するだけです。
もちろんここにもノウハウは色々あるのですが…
加熱してボールがきれいにGPUのパットに馴染んだら、きれいに掃除をして終了です。
均一で綺麗な半田バンプが出来ていないと実装する際にショートしたり、未半田になってしまいます。
2011年
12月
05日
月
パソコンの修理ってこうやります②
リワーク機ってなに?
リワーク機とはBGA(LSIの種類です。基板との接続ポイントが裏面にあって半田ごてで実装することが出来ません。)を実装したり、外したりするのに用いる専用機です。
工房やまだで所有しているリワーク機は簡単に図にするとこんな感じです。
どうにか工夫すればリワーク機でなくてもBGAの取り付け取り外しは出来ますが、リワーク機が優れているポイントがいくつかあります。
①、基板の部品面、半田面両面から加熱できる。
②、加熱の温度管理が出来る。
③、基板とBGAの位置合わせができる。
です。
上の図の左部分が加熱に用いる部分。
リフローユニットのノズルはBGAの大きさにあわせて変える事ができ、
BGA部分のみを効果的に加熱できます。
下からはボトムヒーターで基板全体を加熱します。
右部分が位置合わせのための部分です。
ひとつひとつの細かい説明は後回しにして、GPU取り外しの説明に進みましょう。
GPU取り外し
取り外すためには、アンダーフィルを除去した基板を加熱するわけですが、
まだ準備が必要です。
GPUを取り外す為にはGPUと基板をつないでいる半田ボールを溶かさなくてはいけません。
現在作られているPCに使われている半田はPbフリー半田という種類の半田で融点は220℃程。
GPUと基板の間にある半田を220℃程まで加熱しなければならない為、
リフローユニットから吹き出す空気の温度は250℃を超えます。場合によっては280℃程。
その為周りの部品に悪影響が出ないように養生する必要があります。
GPUの直ぐ隣のコネクタは非常に高温の風にさらされるので覆いをしています。
網のようなものに乗せているのは、
PCのマザーボードの周囲はDCジャックやLAN端子やUSB端子等色々な部品が付いていて
リワーク機の台座で挟みにくいからです。
スペースがあってしっかり押さえられる場合にはなるべく使いません。
BGA交換の際には表面と裏面の両面から温度を掛けないといけないので、
網がある分ボトムヒータからの熱が基板に伝わりにくくなってしまいます。
そして、実際に熱を加える前にフラックスを基板とGPUの間に流し込みます。
これでようやく取り外しです。
分かりやすく図にするとこんな感じです。
熱をかけてGPU裏面の半田ボールの温度が全て融点を超えたら外すことができます。
取り外したばかりの状態。左がGPU、右が基板です。
半田残滓を除去して基板をきれいにします。
2011年
11月
11日
金
パソコンの修理ってこうやります①
パソコン(PC)のGPUの不具合の原因を書いていきました。
今回はPCのGPUの修理例を出していきます。
まず前提。
工房やまだでは、現在基本的にはPC修理業者様よりGPUの不具合やその他の部品の実装の問題を頂いて修理しておりますが、
「画面が映らなくなったんだけどとうにかなりませんか?」
のようなご依頼は受けることが出来ません。
工房やまだはPCの修理の原因を調べることは出来ません。
基板と部品の半田による接続(実装)においてはエキスパートですが、PCのエキスパートではありません。
ではいきましょう。
準備
実際の作業に取り掛かる前に、色々しなければならない事が多いです。
ベーキング
まず、最初はベーキング。
ベーキングとは基板や部品を長時間、高温にしておくことで中の水分を除去する作業の事です。
具体的にはパソコンのマザーボードの場合は60度で24時間乾燥させます。
ベーキングをしないと色んな悪影響が出てきます。
GPUを取り外す際に250度以上で加熱するのですが、基板やGPU内部の水分が急激に蒸発して膨張して内部ではじけたり、基板が反る原因にもなります。
これがベーキング漕です。
暖められる冷蔵庫みたいな感じ。
通常使用するのは60度ですが、100度以上にも出来るのでいろいろ使える装置です。
熱に弱い部品の保護
次は熱に弱い部品の保護です。
基板上に貼ってあるシールは加熱すると縮んでしまうので一度剥がします。
ケーブルも被服が溶けてしまうので避けるか取り外します。
また、GPUの近くにある耐熱性の低い部品(コネクタやスイッチ)は耐熱テープで保護します。
コーナーボンド
上の写真の基板が今回、PC修理業者様より「GPUの不具合の為交換」とのご依頼を受けてお預かりしたPCのマザーボードです。
中央付近にあるのが問題のGPU。
左の写真が接写したGPUです。
これがPCのグラフィック関係の処理をしているLSIなんですね。
これ、GPUの周囲に赤いのが付いているの分かりますか?
これがコーナーボンドです。
コーナーボンドとは簡単に言えば防衝撃用のボンドですね。
モバイル機器(携帯、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等)の基板のBGAタイプのLSIには大体付けられています。
図で表すと上のような状態でコーナーボンドが付いています。
赤いのがコーナーボンド。
これが、物によって角に数箇所だったり、4辺にびっちりついていたり様々です。
コーナーボンドが付いていると、GPUを加熱して基板とGPUの間の半田を溶かしてもコーナーボンドが粘ついてGPUが外れないので、あらかじめコーナーボンドを取る必要があります。
しかし、このコーナーボンドはGPUに最初に塗るときには液状です。ですのでGPUの裏側に流れ込んで全て取り切ることは難しいです。
コーナーボンドが取り切れないと、GPUが取り外せないのが熱が足りず半田が溶けないのか、コーナーボンドが粘ついて取れないのか分からないくなります。
その結果、加熱しすぎる原因になったり、コーナーボンドがあまりに強く付いてしまっていて力を加えないとGPUが取り外せなかったりしてGPU、基板の損傷の可能性が高くなります。
コーナーボンドがあると難易度は格段に上がります。
コーナーボンドは熱することで柔らかくなり取り易くなるため、ホットエアーで部分的に加熱して剥がしていきます。
もちろん周りの部品を痛めないように覆った上での作業です。
さて、コーナーボンドを剥がした後のGPUです。
基板とGPUの間に隙間があるのが分かると思います。
ここに半田ボールが綺麗に並んでいるんですね。
追記
2011/12/15
こちらの記事をアップした後、弊社とお取引のあるPC修理業者さまよりご助言を頂きました。
まず、防衝撃用のボンドにはアンダーフィルとコーナーボンドの2種類があり、PCに使われているものはコーナーボンドというとの事です。
確かに素材もかなり違います。
ですのでこの記事の表記は全てコーナーボンドに修正致しました。
また、コーナーボンドの除去剤を教えて頂きました。
現在試しに使っていますが、かなりうまいこと除去出来ています。
使用方法が固まったらまた追記します。